サポーテスト的動作解析の第8回目です。
我々は、スポーツ分野での動作解析をビジネスにも応用できないものかと考え、ビジネスシステムのどの動作部分に負荷や問題点があり、どの部分を修正していけば、最大限にパフォーマンスを発揮できるのかを寝る間も惜しんで研究しているつもりです。
動作を解析する、すなわち一つ一つの動作だけでなく、時間的な部分なども考慮することによって、サポ研なりの分析を考えていきたいと思います。(※あくまでもブログ上1コーナーでの話です)
弟「あんちゃん、あんちゃん、物価が上がってるのにお金がない時はどうしたらいいんだよ」
兄「バカだな。そんなのお金を作ればいいんだよ(※犯罪です)」
弟「1万円作るのに1万8000円掛かっちゃうよ」
兄「じゃあ2万円札を作ればいいんだよ。簡単なことだよ(※犯罪です。絶対やめましょう)」
というような、たわいもない全くわりに合わない会話が、至る所で起きているかどうかはわかりませんが
商品にかかる諸経費が上がると価格に転嫁されるために値上げという決断をする企業が増えております。
その商品に「値段以上」の付加価値があれば良いのですが、価値がないと判断され購入頻度が下がってしまうと売上ダウンにつながり、会社の収益に影響することになります。
そんな中で、価格据え置きの決断を下し、苦しみながらも何とか凌ごうとしている企業もありますが、競合他社も同様の選択を取ると「いつも通り」の価格競争になってしまいます。
こんな爆弾ゲームみたいな状況がホントに良いのか悪いのかは後世の歴史家が判断するとして…
ということで
第8回目の研究は
「きっとどこかにある、ダンピング(値引き)合戦で泥沼化の動作解析」です。
どこかにあるどころか、この類の話はどこのビジネス現場でもほぼほぼ存在すると言ってもいいでしょう。
たとえ競争力は企業に必要だとしても、出来れば泥沼化は避けたいところなのですが、「引くに引けない」場面はビジネスならば少なからずあると思われます。
では
時系列で「とある 価格競争の激しい業界で繰り広げる競合会社2社(A社・B社)」を「動作」にフォーカスして追ってみます。
(左から 場面:行動≪青字≫:動作≪赤字・紫≫)
フェーズ①:見積もり作成時(社内打ち合わせ)
A社、B社ともに相手の価格が気になるので調査をする➡➡➡
●動作:A社(以下A)「B社の仕入原価や経費の予想にくわえて、担当者や会社の資金力、価格 決定権のあるリーダーの性格など様々な調査もおこなう」
●動作:B社(以下B)「同様にA社の内情を調査」
フェーズ②:見積もり決定時(社内稟議提出)
A社、B社ともにこれまでより少しでも値段を上げたい➡➡➡
●動作:A「原価がどう考えても、これまでより高くなるので価格転嫁をしないと赤字になって しまうが、B社はどうするのかと悩む」
●動作:B「同様にA社の出方をうかがう」
フェーズ③:顧客に見積もり提出日
両社ともに発注量の昨年実績を優先し、価格据え置きの方針を取る➡➡➡
●動作:A「撤退も含め、最後まで悩んだ挙げ句、受注後にしばらくしてから値上げ交渉をする 作戦に転換する」
●動作:B「迷った末、とりあえず継続取引をしながら、顧客に別商品も購入してもらえるよう に提案も加える」
フェーズ④:商談日
両社とも同程度の値段のため、再入札を伝えられる➡➡➡
●動作:A「これ以上値段を下げると、赤字で回収不可能になるかもしれないので値下げをせず 提出する」
●動作:B「我慢をして、若干の値下げを施し渋々提出する」
フェーズ⑤発注決定日
競争の結果、落札したのはさらに値下げをしたC社となりA、B両社の発注量が下がることが 決定的になる➡➡➡
●動作:A「『顧客には裏切られた…』と思いながら、損が計上されないと考えると内心ホッと する」
●動作:B「この顧客にかけるコストを、新規顧客に投入した方が良いのではないかと思い はじめる」
フェーズ⑥:結果報告(社内会議)
A社、B社の経営陣に価格競争に負け、売上ダウン必至の報告をする➡➡➡
●動作:A「『損失のリスク』で最初は納得するが、時間が経過し売上ダウンの結果が出はじめ ると何事もなかったかのように経営陣が𠮟責しはじめる」
●動作:B「『新規顧客獲得』の方針が上手くいかず、売上ダウンの結果が出ると経営陣が𠮟責 しはじめる」
フェーズ⑦:次回見積もり作成時 A社、B社とも、とりあえずは必ず落札しなければならなくなる➡➡➡
●動作:A・B社「恒例‼いつも通り値引き合戦により泥沼化となる」
A・B両社の「見積もり作成時」から「次回見積もり作成時」までの主な動作解析しますと
(競合他社を)調査する➡(入札を)悩む・熟考する➡(値上げや販売)交渉や提案する➡(そのまま・渋々)提出する➡ホッとする➡叱責される➡(結局は)値引きする
となります。
これらの動詞をならべただけで
不本意ながらも、両社は「値引きループ」に落ちていくことが想像できます。
さて、この動作を追っていくとA社・B社の値引き合戦の問題点や改善点がどこのあるのかの仮説を立てやすくなります。
ただ今回は「わかっていながらも、やるしかない」という業界の特徴や会社の方針などもありますので、「値引き合戦」そのものではなく、そこに至るまでの過程について、問題点や改善点を考えていきたいと思います。
たとえば
問題点①:値引きを前提とした見積もり作成➡➡➡改善点:値引き要請されないような商品を作れないかなあ
問題点②:「天秤をかける」顧客を恨んでしまう➡➡➡改善点:情報をもらえる様な人間関係を築けなかったか なあ
問題点③:第三者(C社)に注文をさらわれる➡➡➡改善点:顧客だけでなく、AB両社間の関係性も見直せないか なあ
問題点④:結局は従来の顧客頼みになってしまう ➡➡➡改善点:顧客を見直して掘り起こすなど、最悪を想定して「計算のできない顧客」が消えても 良いようなリスクヘッジができないかなあ
問題点⑤:事前に報告しているのに、結果が出ると突然キレる経営陣 ➡➡➡改善点:手のひら返し役員には心の中で渾身のジャーマンスープレックスを
今日も、崖っぷちで頑張っている戦士の皆様には心より敬意を表します。
そして、このような会社の「背景」を想像してみますと
「担当者の販売力頼み」や「対策を考えない経営陣」という「組織の問題」にも行き当たります。
この状況を改善するために、会社としては「リスクヘッジ」が求められます。
「営業力を担当者頼みにしないように後継者やサポート役のスキルを上げる」とか
「値引き合戦が嫌なら、値切られない新商品や会社のブランド価値を上げる」 「競合他社とのコミュニケーションを取り合う」など
出来るだけ泥沼化を避けるような対策が求められます。
「それが難しいんだよ」と思われるかもしれませんが
とにかく、会社も社員も「値引き上等」でいくのか「値引き回避」でいくのかを、真剣に向き合うことが大切なのかもしれません。
もちろん、問題点や改善点の答えはこの限りではありません。
もっと深く掘り下げると、もっともっといいアイデアが浮かんでくるかもしれません。
様々な角度から捉えることが必要です。
そして、どれか一つの動作でも改善することで全体がうまく回っていく可能性もあると思います。
ちなみに
この分析によって、問題点を洗い出したAB両社は「協力関係」を結び、価格交渉や商品開発を始め、互いに利益の出る組織作りを進めることになったとかならなかったとか。
このように
全体を見渡すと「どこに手をつけていいかわからない」ことも、構成している動作一つ一つのなかにヒントが隠されていることは多々あります。
当研究所では
いろんな動作から、そこに潜む様々なケースを想像して検証していくヒントになればと思っております。
また次回の研究発表の機会でお会いしましょう。
※あくまでも個人の見解です。