ことわざ・慣用句などからビジネスに役立つ「何か」を考えるシリーズの今回のテーマは「朝三暮四」です。
飼っていた猿にエサのどんぐりを「朝に三つ、暮に四つにする」と言ったところ猿たちが怒ったため、「それでは朝は四つに増やし、夕暮は三つにする」と言うと猿たちは朝の数が増えて喜んで納得したという故事から来ているそうです。
意味としては
「目先のわずかな違いや損益にこだわりすぎて、結局は同じ結果になることが理解できないこと」や
「巧みな言葉や話し方で人を丸め込むこと」などがあります。
この二つの意味は、エサをもらう側の猿と、その飼い主とのそれぞれの立場から来ていることがわかります。
サル「エサのドングリが少ねーな。腹いっぱいになりてーな」
飼い主「話があるんだ。ここのところの異常気象で、ドングリ相場が跳ね上がって厳しいん状況なんだ」
サル「ちょっと待てよ。新しい家族もできるし、家のローンもあって前から少ないって言ってるだろ。サル芝居じゃねーのか」
飼い主「サル真似でもなく、ほんとに苦しい財政なんだよ」
サル「そもそもなんでドングリが朝3つなんだよ。大手は6つもらってんだよ。中小のこっちは相当我慢してるんだぞ。なんとかならないのかよ」
飼い主「健康を考えて出してたんだよ。どんぐりはカロリー高いから」
サル「カロリーなんて知るかよ、そんなこと。隣は夏と冬に結構リンゴやみかんもらえるらしいぞ。せめてもう少し増やしてくれよ」
飼い主「申し訳ない。こちらとしてもいろいろ努力してるんだよ」
サル「知らねーよ。エサくれねーんだったら、もう何にもしねーぞコノヤロー」
飼い主「ちょっと待ってくれ…こっちも今まで頑張ってきたじゃないか。考え直してくれよ」
サル「ダメだダメだ。話にならねーや。オマエ以外にも養ってくれるとこなんてどこでもあるからな」
飼い主「……わかった。こういうのどうだ?朝は腹減ってるんだろ?おはようのドングリは3つから4つに増やすよ」
サル「ホントか。ドングリを4つに増やしてくれるのか」
飼い主「オマエも代表して来てるんだから何か結果を残さないと仲間から怒られるだろ」
サル「そうしてくれると助かるよ」
飼い主「その代わりだ。これは提案なんだが、夜は4つのところを3つにしてくれないか?カロリーの高いドングリを夜に食べると体にも良くないらしいし、健康を考えるとホントは2つが妥当だと思うんだが。悪くない話と思うんだ」
サル「2つは少ないよ…。わかったよ。夜は3つでいいよ」
飼い主「ありがとう。契約書を作るからサインしてくれ。これからもお互い頑張っていこう」
このようなやりとりがあったのかどうかはわかりませんが、これをビジネス的に捉えると、この飼い主の交渉術としてはなかなかのものだと言えます。
実際、こう上手くいくとも思いませんが、「サル側の納得」という「サル(顧客)満足」を手に入れた飼い主としては、とりあえず交渉成立と言えるのではないでしょうか。
ビジネスならば契約成立といったところでしょうか。
今後も同じような問題が発生し、継続できるかの問題はありますが。
このようなやり取りは一般社会でも見受けられます。
客「一つ800円のAとBを2つ買うので値段を1000円に負けて欲しい」
店主「こまりましたなあ、お客様。こちらはポッキリ価格ですんで。値段高めに表示して、あとで値引くような商いはしておません」
客「それなら他の店で買うよ」
店主「お待ちくださいお客様。わかりました。これとこれは1000円でいいです。その代わり、同値で一つ800円のCとDの2つを1000円でいかがですかね。単価も変わらないしお得じゃないですか」
客「わかったよ。買うよ2つ1000円だな。良い買い物したな」
店主「ありがとうございます。お客さんだからこそ、こんなサービスするんですよ。(値引け値引けってうるせー客だなー。まともに買えねーのかよ。まあいいか。大量購入で仕入原価を安く出来たので、4枚売れりゃ薄利でも御の字だよ。このモンスター野郎が…)」※心のうちはあくまでも推定です。
他に、このような場合もあります。
労働組合「今度のボーナスですが、業績も良くなっているので通常夏3カ月のところ4カ月欲しい」
経営者「わかった。みんな頑張っているから4カ月出そう。その代わり業績落ちた場合は覚悟してくれよ」
労働組合「ホントにありがとうございます」
経営者「みんなで頑張っていこう。(設備投資もかさむし、財政も逼迫しているので、ホントは現状でも無理なのだが、組合や社員がうるせーので仕方ねーな。その代わり、業績落ちたら思いっきり下げてやるよ。夏三冬ゼロでリストラだバカヤロー)」※心のうちはあくまでも推定です。
いずれも何を考えているかわかりませんが、共通していることは経営も取引も「相手が納得すれば平和じゃないのか」ということでしょう。
まとめとして
朝三暮四のサル側にしてみれば「言いくるめられないように『見る目を養う』こと」が必要でしょうが、ビジネスに携わる者として、たとえ付け焼き刃でも、飼い主の「納得をさせる交渉力」を備えることはより重要なことだと思います。(決して詐欺まがいを推奨しているわけではありません)
まさに経営者側にとって、従業員との信頼関係は大事です。とにかく交渉時は「納得」をさせましょう。
それこそ、あさはかな「猿知恵」で悪い結果になりませんように。
※あくまでも個人の見解です。
詐欺やダマし、ペテンの類はやめましょう。何の因果か、自分に返ってくる例は意外と多いようです。
下記の質問を「価値」「納得」「商売」という言葉を使って考えてみましょう。
「原価1000円のモノを、A店は2000円、B店は1200円で売っています。
A店は「ぼったく」っているのでしょうか…
A店で買った客はB店に並ぶ商品の値段を見て「騙された」と思うのでしょうか…
A店が高いのは何か理由があるのでしょうか…
いまだに模範解答がわからないところではありますが、皆様の解答をお待ちしております。