泥舟さん日記です。
深く考えず、軽い気持ちでお読みください。
※文面は、サポーテストで再構成しております。あくまでもフィクションですので、ここに出てくる人物・会社・団体名は存在しません。「ノンフィクション風」ということでご理解いただければ。
「会社とはなんぞや?」と考え始めて数年間、様々な職種の方々に、その疑問に対する言葉を聞きかじりながらまとめております。
文章のみですので、それぞれで捉え方をしていただきたく、深く考えず軽い気持ちで想像力を働かしながらお読みください。
~「泥舟日記」より~
その13「組織を変えるのが好きな会社だなあの巻」
12月
自分が歳を重ねたせいなのか、年末年始に向けたイベントへの高揚感よりも
また今年も終わってしまった集燥感や来年も仕事をしなくてはならないという義務感で埋め尽くされるので、年々好きではなくっている12月である。
そんな年の瀬に
今回新しく就任された管理部門の取締役が組織改革をおこなうと発表したおかげで、またもや会社はバタバタしている。
ちなみに、この取締役は数年前に誰もが知っている一流企業から転職され、主に総務や経理畑で過ごしていたのだが、一流と中小企業は違ったのだろう、実務やこれまでの経験を全く活かしているようにも見えず、個人的にいえば「経歴の看板を忘れ去られた」方だった。
正直なところ、人となりはあまり知らず、改革の内容もわからないのだけど…
「一流大学を出て一流企業のエリートだった彼が数年間の眠りから覚め、満を持して改革をおこなうのだ。内部で変われないなら、外側を知っている人間が改革をおこなう。彼は眠っていたのではなくこの日のために潜伏していたのではないか…」
と、年末の煩わしさの方が大きかったものの、会社の将来を憂う者のひとりとして何かが変わるのではないかという淡い期待もしていた。
近くして、社員が集められ、聞いたことのない彼の肉声から発せられた改革の概要とは
『これまで品目や部門ごとに分かれていたのが、仕入れから販売までの各プロセス(開発や製造など)を一括管理することで各プロセスの意見が反映されるので、よりスムーズに、より早く意思決定がなされるらしい。そうなると各プロセスの効率化や品質、各プロセスの業務のフィードバックが活発になると業績は好転する』
だそうだ。
何を言っているのかさっぱりわからないが、彼は「風通しの良い組織にすること」が目標らしい。
この会社を数年間見続けて考えたのか、どこで吹き込まれたのかはわからないが、今の時代の成功している企業はそうしているらしい とのこと。
とはいえ
これまで長い年月を、横のつながりもなく部門ごとに業務してきたことで、いわゆる縦割りとなり部署独自の文化が花開いてしまっている。この文化に慣れたベテラン社員や付き合いのある業者の戸惑いは決して少なくはないだろう。また風通しの良い組織になったとすると、それを「こころよく思わない方たち」もいる。特に各部署の「権力」の周辺にいる「お偉いさん一派」の抵抗は岩盤級なので非協力的な態度も予想される。
会社を良くするためなのに、なぜ抵抗するのかはわからないのだけれど。
重い荷物を自力で動かすのは非常に力が要るように、硬直した組織を動かすには相応のパワーが必要なのだ。
いきなり変えられないのならば、一緒に動かしてくれる人を少しずつ探すか、「力のかからない」範囲で身近な出来ることからコツコツ変えていけばいいのではないかと個人的には思うのであるが。
業績の良くない中で、管理部門を任された彼が組織を動かすことで現状の打開を図ろうとしたことは決して悪いわけではないと思うが、結果的に良くない方向に出てしまった先の人事異動しかり、弊社には組織を大幅に動かしても「変わらないどころか余計にひどくなる」悪しき実績がある。
この組織改革がどう出るかはわからないが
とりあえず「これまでなぜ上手くいかなかったのか?」を考えるべきかと思う。
社員の心も動かさなければ、成果は期待できないということをそろそろ気づくべきだが。
「組織改革?なんじゃそりゃ。もっとやることがあるだろ」と今更ながらほとんどの社員は思っているのだが。
ただ、「何とかしよう」と思うことは変革の原動力になると信じたい。自分もその志に微力ながら応援したいとも思った。
しかしながら
予想通りというべきか、この組織改革は準備不足のため、しばし延期されると発表されたのは翌月初めになってからのことだった。
それが原因でショックを受けたのか、彼がこの会社を去ったのは半年後のことだった。
これからも弊社の組織に風は吹かないのだろう。すきま風は相当吹いているはずだが…
今月のわかったこと
『急に偉くなった人は、目に見える変化が欲しいので組織を変えたがる。ただ、疲弊した組織を急に変えようと思うと、土台部分から崩れていくようだ。でも、崩れているのも「変化の一部」だと思っているのでなかなかタチが悪い』