泥舟さん日記です。厳しい経営を迫られている会社にとっても参考になることもないことはないのではないかと思います。
深く考えず、軽い気持ちでお読みください。
※文面は、サポーテストで再構成しております。あくまでもフィクションですので、ここに出てくる人物・会社・団体名は存在しません。「ノンフィクション風」ということでご理解いただければ。
文章のみですので、それぞれで捉え方をしていただきたく、深く考えず軽い気持ちで想像力を働かしながらお読みください。
~「泥舟日記」より~
その⑨『あせると慣れないことしてしまうの巻』
8月、夏真っ盛りになりました。
「今年の夏は何しよう」なんて若い頃は解放感や高揚感満載だったが今は落ち着いたもんで、夏なんて「1年四季のうちのひとつ」としか思えなくなったのはいつ頃からだったろうか…。
8月は売上が落ちる月だそうだ。
それは、まとまった休みが多いので旅行などの行事にお金がかかるからとか、ただ単に暑いので人々の経済活動が落ちるからとか、と言われている。
そんななか、売り上げ対策かどうかは定かではないが、競合会社がEC(イーコマース:ネット販売)部門を立ち上げたそうだ。
業界では、21世紀になるかならないかの頃のEC勃興期に、資金のある多くの会社が手を出しては失敗に終わっており、古典の方丈記だっただろうか、泡沫(うたかた)のように「かつ消えかつ」状態で、いわゆる「片手間」での成功は難しいことを経験してきている。
当時から生き残っているEC部門は数少ないなかで、その苦い経験から「タブー視」していたECを立ち上げるということは、裏を返せば、軌道に乗せることのできるノウハウや財力に余裕があると見ることもできる。
案の定、競合会社は大手EC会社出身の社員を引き抜いて本腰を入れているようだ。
そんな事情は知ってか知らずか、ライバルに負けたくない社長の鶴の一声で「弊社もECができないか?」を検討する「EC委員会」が立ち上がることになったのである。
とはいうものの、弊社もEC勃興期に少しだけ「バスに乗り遅れるな」風に、勉強会などの準備をしたことがあり、当時関わった人間は「専門知識がないと難しい」ということは理解しているため、顔には出さないが及び腰であることは明白。
そして、当時を経験してなによりもわかったことは「ECに業績アップの即効性はなく、長い目で見ないといけない」ということ。
それだけに「簡単に軌道に乗る」と思っている経営陣では立ちいかなくなる可能性が高く、彼らが腹をくくって「財力的にも、人事的にも、数年間の我慢と覚悟ができるのか」ということが必要となってくる。
数日後、何事もなかったかのように弊社の「EC委員会」は自然消滅となった。
一見、スケールは大きそうなプロジェクトに見えるがメンバーは嫌々ながら集められた数名であるので、そんなもんだろうと思う。
大半の社員の間では「いつもの社長の発作が治まった」と、「日常の出来事」として捉えていることでこの会社の体質というのを物語っていた。
今日も「何も考えていない」企画が予定調和かのように「かつ消えかつ」となり、弊社の「無常」を知ることとなる、季節の終わりを告げる蜩(ひぐらし)が遠くで鳴く夏の夕暮れだった。
今回の勉強したこと
「組織の一番偉い人が口走ったことは、たとえ興味本位や冗談でも、周囲の人間達は必ず動き始める。これがいわゆる『忖度』ってヤツなんだな(ため息)」