サポーテスト的動作解析研究所「File#7」


サポーテスト的動作解析の第7回目です。

スポーツの分野での動作解析を、ビジネスにも応用できないものかと考え(ビジネス)システムのどの部分に負荷がかかり、どの部分を修正していけば最大限のパフォーマンスを発揮できるのかを理解していく
いわば「ビジネスの動作解析研究所」です。

動作解析における一つ一つのアクション(動作)だけでなく、時間的な部分なども考慮することによって、サポ研なりの分析をしていけるのではないかと思っております。(※あくまでもブログ上1コーナーでの話です)



そして第7回目の研究は
「きっとどこかにある、若手社員が育たない会社の動作解析」です。

社員教育をつかさどる人事部・総務部の方たちのほとんどは「ウチの会社は若手社員が育たない」とお悩みではないかと思います。

なんとか社員採用した挙げ句、すぐに辞表を提出する社員に「我々の頃はもう少し我慢していた」とお嘆きになられても、去る意志を固めてしまった社員はほぼ戻ってこないので
「昔のその頃は我慢するしかなかった」と、ご納得させた方がむしろ心穏やかにいられるかもしれません。


人手不足で売り手市場の労働環境や転職サイトの充実などは、若手社員に「次の打席」を増やし、じっくり成長していくよりも、すぐに結果を求めたがる「早打ち」傾向にしてしまったのでしょうか。

ただ、中小企業においても順調に若手社員が育っている会社もありますし、総じて離職率の低いところもありますので、今一度これまでの自社の社員教育方針を振り返ってみることは大切だと思われます。

ということで
「とある 若手社員が育たないといわれている会社で働く、転職入社1~2年目の社員」を時系列と動作で追ってみましょう。(左から 時刻:行動:動作)

9時      いつものように業務開始➡➡➡
        ●動作:転職1~2年目の若手社員(以下W)「このところ仕事でのパフォーマンスが上がらず『         この仕事は自分に向いているのか?』と悩んでいる」

10時     若手社員がいないので、自身の担当以外の雑用を押し付けられる➡➡➡ 
        ●動作:W「仕事が溜まっているが、『嫌です』とも言えずに渋々こなす」

12時     自身の担当を中断させて、上司や先輩社員の仕事の手伝いに付き合わされる➡➡➡
        ●動作:W「手伝いが長引き『仕事が期日に間に合わない』と焦りはじめる」

14時     ようやく自身の仕事に取り掛かる➡➡➡ 
        ●動作:W「誰も手伝ってくれず『なんで自分ばかり押し付けられるの…』と嘆く」

15時     上司から結果が出ていないことを咎められる➡➡➡ 
        ●動作:W「『暇そうなのに何でも丸投げしてくるなよ。あんたのおかげで仕事が遅れてるんだ         ろうが』と別の角度から怒りが湧いてくる」

16時     先輩社員に仕事のパフォーマンスの低下について相談する ➡➡➡ 
        ●動作:W「仕事の仕方ではなく、精神的なアドバイスと手抜きの仕方しか教えられず『これで         いいのか?』と悩む」

17時     他部署の同期から「今月で辞めることになった」と伝えられる➡➡➡
        ●動作:W「『人間関係?将来性?』など辞めるに至った経緯を聞き、自身に当てはめてみる」

18時     自分以外の部署の全員が帰り、残業していると「仕事が遅いお前に残業代は付かないからな」         と総務部長から冷たく言い放たれる➡➡➡
        ●動作:W「自身の評価の低さと、会社の器量の小ささとで『自分の居場所はここなのか?』         『前の会社のほうがよかったのではないか?』と自問自答する」

19時     同級生や他の会社の友人との飲み会で各々の会社の状況を話する。➡➡➡ 
        ●動作:W「自分の給料や待遇、仕事内容の差に不満と後悔を感じはじめる」 


若手社員の一日が終了するまでの主な動作解析しますと
悩んでいる➡渋々こなす➡焦りはじめる➡嘆く➡怒りが湧いくる➡悩む➡当てはめてみる➡自問自答する➡後悔する

これらの動詞をならべただけで
会社に対する不満があると想像できますので、このままだと若手社員は遅かれ早かれ退職の方向に進んでしまうのではないでしょうか。

そして、この動作を追って見ていくことで、若手社員が育たない会社の問題点や改善点がどこのあるのかの仮説を立てやすくなります。

たとえば
問題点①:上司・先輩が理由もなく雑用ばかり押し付ける➡➡➡
     改善点:若手社員を納得させるコミュニケーションが必要
問題点②:上司・先輩が仕事の相談に乗らない➡➡➡改善点:仕事のマニュアル化や上司・先輩のフォローが必要
問題点③:若手社員のメンタルに寄り添わない➡➡➡
     改善点:互いに愚痴を吐き出させる同僚の存在やメンタルケア職員の採用など若手の「駆け込み寺」が     必要
問題点④:丸投げ体質で仕事の仕方も教えない➡➡➡
     改善点:※OJTの徹底とそれをおこなう上司・先輩社員の教育の徹底が重要
※OJTとは、On the Job Trainingの略称で日本語に訳すと「職業内訓練」。新入社員や経験の少ない若手スタ ッフに対して上司・先輩が指導役となり、普段の実務を通して知識やスキルを習得してもらう人材育成方法。
問題点⑤:「会社は冷たいし、セコイし、何もしてくれない」と社員に思わせる➡➡➡
     改善点: 総務部長を含めたデリカシーのないマネジャーたちに、心のなかでオクトパスホールドを


多分に若手社員の「甘さ」が指摘されるかもしれませんが
前述の通り「時代が変わってしまっている」ので、会社側はそれに即した対応をとるべきだと思います。

そして、このような会社の「背景」を想像してみますと
「年齢差による考え方の違い(ジェネレーションギャップ)」や「上司・先輩からの権限委譲(エンパワーメント)」「会社が若手社員に対して真剣に向き合っていない」という「組織の問題」にも行き当たります。


このような状況を改善するために
会社としては「若手社員を育てる組織作りの整備」が求められます。

また、若手社員側も「会社はここだけではない」という思考があるかぎりは
極端な話として、今いる会社も「選択肢の一つ」に過ぎません。

なかには「転職のための転職」を重ねてしまう方もいるので、「まずは会社に留まる」という相応の覚悟が必要です。

会社側は若手社員に対して
「育てるためにはどこまで寄り添えばいいのか?」
「大切に育てても、結局退職されてしまうと会社としてはたまったものじゃないので、怖くて若手育成に力を入れられない」
「別に会社が何をしなくても、ホントに有能な人間は勝手に育つんじゃないか」
などの課題や問題点がありますし、若手社員個人によって対応の仕方が違いますので「若手社員が育つ必勝法」というのは残念ながら存在しません。

とにかく、会社も社員も「真剣に向き合う」ことが第一歩なのかもしれません。

こういう「若手が育たない、入社してくれない問題」は非常に重要であり
これが「会社の跡継ぎがいない」「伝統的技術を引き継ぐものがいない」問題につながっていき、積もり積もれば日本経済に影響が出てくることになります。

中小企業の経営者としては
業績などの短期的な問題に目を奪われてしまいがちですが、「人を育てていく」という長期的な課題には絶えず注意を払っておくべきだと思います。

それは企業だけでなく、日本全体がいずれこのような問題に真剣に取り組まないといけないのだけは確実なようです。


もちろん、問題点や改善点の答えはこの限りではありません 。
もっと深く掘り下げると、もっともっといいアイデアが浮かんでくるかもしれません。

様々な角度から捉えることが必要です。

そして、どれか一つの動作でも改善することで全体がうまく回っていく可能性もあると思います。

ちなみに
この分析によって、部署の問題点を洗い出し、上司・先輩・若手社員とが互いに真剣に向き合うことでパフォーマンスが向上し、部署全体の業績がアップしたとかしなかったとか。


このように
全体を見渡すと「どこに手をつけていいかわからない」ことも、構成している動作一つ一つのなかにヒントが隠されていることは多々あります。



当研究所では
いろんな動作から、そこに潜む様々なケースを想像して検証していくヒントになればと思っております。

また次回の研究発表の機会でお会いしましょう。

※あくまでも個人の見解です。

2023年07月28日