泥舟さん日記です。
深く考えず、軽い気持ちでお読みください。
※文面は、サポーテストで再構成しております。あくまでもフィクションですので、ここに出てくる人物・会社・団体名は存在しません。「ノンフィクション風」ということでご理解いただければ。
「会社とはなんぞや?」と考え始めて数年間、様々な職種の方々に、その疑問に対する言葉を聞きかじりながらまとめております。
文章のみですので、それぞれで捉え方をしていただきたく、深く考えず軽い気持ちで想像力を働かしながらお読みください。
その⑥ 『せめて』の巻
5月、風薫るさわやかな季節ではあるが、弊社では、なぜかどんよりとした空気の中で過ごしている。
人事異動ショック(泥舟…③参照)によって、引継ぎが上手くいっていない部署、特に営業部門において、社内の混乱以上に我々が恐れていた顧客離れが起こり始めた。
業界でもよく言われている格言に「逃げた客は戻ってこない」というのがある。
大手企業の下請けをはじめ、これといったブランドや商品を持っていない中小企業では「現在の顧客」を維持するというのが安定した経営のための最大の方策だろう。これを基盤として、新規顧客の開拓や既存顧客のさらなる掘り起こしをしていくことが、現場レベルで出来る不景気下での最大限なことだと思うのであるが…
シャッフルに近いこの人事異動は、本当に会社の将来を見据えてのものなのだろうか。
たとえば、ポーカーで手札にエースや絵札、ワンペアやスリーカードなどの「役」がなかった場合は「全とっかえ」をすることで新しい手札から始めようとする。
なぜそうするかというと、「このままでは勝ち目がないから」だろう。
停滞状態から気持ちを一新するという意味もある。
翻って、弊社の業績はここ数年芳しくないとは思うが、これまで積み上げてきた個人のスキルや顧客の信頼など全てを捨ててしまうと、また一からやり直しということになる。
百歩譲って、全とっかえするくらい追い詰められているならまだしも…
むしろ、俺には戦力としてようやく揃った役やエース札を簡単に捨てているように思う。
それは、手札が見えなかったのか、見ようとしなかったのか。
2や3の小さい数字の手札が突然、絵札にでも変わるとでも思ったのか。
それは長い年月を経て大きい数字になっていくのに。
そしてその札は、長い年月をかけてもずーっと小さい数字と簡単に予想できるのに。
案の定、やはり全とっかえ後に配られた手札は、予想以上に小さい数字だった…
その日の夜、湯船に浸かりながら、現状の会社について以下の仮説を考えた。
おそらく初めて「自分の会社」についてを考えたと思う。
「(弊社は)仕事が出来る人が評価の高い人とは限らないようだ」
「(弊社は)権力者に違った意見を言う人は評価が低くなるようだ」
「(弊社は)上司が出世すると自分の立場は守られるようだ」
これを実証する気など全くないが、「会社とはなんだ?」という答えは、入社したばかりの若手の頃に持っていた希望や情熱とは、遠くかけ離れていることだけは間違いないようだ。
翌朝、出社して平静を装っているオフィスを見てふと思った。
一番怖いことは
「弊社の社員は、経営陣が何をしようが会社は回り続けると思っている」ということ。
それは俺にも言えることだが。
社員というものは、経営者の「将来のために」「5年後10年後を見据えて」という言葉を信じるべきなのは理解しているが、会社の業績は落ちている現状の中、この思い切った「改革」は果たして将来に良い結果をもたらすのか…
今月のわかったこと
「いくら派閥でも、子飼いでも、若手でも、定年間近のベテランでも、『会社が間違った方向に進んでいるが、面と向かって主張するのはやめよう』と社員が思った瞬間、それは鉄から泥の舟に変わるようだ
」